1日、 琉球海運 東京丸で沖縄へ(2)

 日目の朝、船は穏やかな海を辺戸岬の東を通過。さらに伊江島を左に見ながら南下し、那覇泊港を目指す。平坦な沖縄本島を海から眺めた第一印象は真っ白な砂浜と真っ青な空と海に包まれた美しい島!琉球政府による入国審査(注釈)と税関検査を通過し外に出た瞬間、めまいがするほどの猛烈な暑さに襲われた。それは人の影ができないくらい頭上から直射日光にさらされているということ。街歩きでもしながら軽い気持ちで宿泊先のユースホステル春海荘へ向かったところ、炎天下を歩き始めて5分もたたないうちに強烈な日差しで肌がヒリヒリしてきた。とうとう暑さに耐えきれず瓶コーラを買って日陰に避難。コーラの値段は10セント(当時のドル円換算で36円、1ドル360円の固定相場)。沖縄の人はセントを銭と言ったが昭和生まれの私にとってなぜかこの言葉に郷愁さえ感じた。喉をうるおして一息ついていると赤瓦の家々の間から蛇皮線の音が聞こえてきた。台風で予定より2日遅れたが沖縄到着を実感した。                               

(注釈) 沖縄に渡航するには昭和47年5月に本土復帰するまで、当時の総理府が発行するパスポート代わりの身分証明書が必要だった。